ほんとうに寓話のような映画。いろいろ驚いた「とうもろこしの島」 ※ネタバレあり!!
こんばんは。
ギオルギ・オヴァシュヴィリ監督
による作品、
「とうもろこしの島」(2014)
原題:Simindis Kunduzuli の
DVDを観たのでご紹介します。
もしこれからご覧になる方は、
鑑賞前にオフィシャルホームページ内、
作品紹介のなかにある
INTRODUCTIONとSTORYをみてから
ご覧になったほうが、
丸腰でみるよりはいいとおもいます。
この映画、
最初の20分セリフが一切無いんですよ、ハハハ。
全体とおしても1分無いんじゃないかなあ、ハハ。
かんたんなあらすじ
①オヤジ(おじいさん)がちっさいボートをこいで、
毎年期間限定で出現するというエングリ川の中州(タイトルでは「島」だけど、ものすごくちっさい)
に漕ぎつきました。
②中州の土を口にふくんで味見をして
「こりゃいける」とおもったのか、
材木をどこからかボートに乗せて運んできて、
小屋をこさえはじめる。
③どこからか孫娘をつれてきて、
ちかくで発砲音や爆発音がきこえたり、
戦争を身近に感じながら
いっしょに小屋をこさえ、
畑をたがやしとうもろこしを植え、
お魚をとってくらす。
(スコップ1本であの面積耕すのは
さぞ大変でしょ、と思った。)
④ある日畑にアブハジアの兵士が
負傷して倒れているのを発見し、
オヤジが手当てし回復していき、
オヤジたちと言葉が通じないため
会話はないものの、
いっしょに生活していく。
対立するジョージアの兵士たちが
アブハジアの負傷兵をさがして
施しを受けにきたりしたときも
かくまいつづける。
⑤いつの間にか負傷兵がいなく
なっている。
嵐で川が急激に増水し、
オヤジと孫娘で、急いでボートに
とうもろこしを積み込むが、
じきにあきらめ、
小屋から工具入れを船に
乗せて、孫娘をのせてボートを
出し、なぜかオヤジは島にのこり
増水で崩れゆく小屋とともに
きえていく。
⑥そののち、
おそらく年月が経ち、
歳をとったであろう負傷兵が
できたばかりの小さい中州に
ボートに乗って上陸。
孫娘が持っていた人形を掘り起こす。
おしまい。
最初、物語が淡々としすぎて
意識がなくなりかけていましたが、
ジョージアの兵士が乗った
ボートのエンジン音が聞こえると
びっくりしてめがさめました。
あまりにすべてが原始的な手作業すぎて
いつの時代の話かわからなくなります。
銃火器とボート以外、
機械的なものの音が
まったくでてこないため、
不思議な感覚でした。
映像に集中できていいなとも思いましたし。
自然や人物たちの描写(とくに思春期の少女の性や恋の描写は、多めにあります)は、時代感覚のわからなさや、少ないセリフ、絵本をみているような小屋の映像もあいまって、
寓話のような抽象的な感じをかもし出すことに成功しているとおもいます。
負傷兵は最後に、
彼らがしっかりと
この地で生きていた事実を
掘り起こしたのだと思います。
そしてそれは冒頭、
オヤジが何かを掘り起こすという
行為のループになっています。
何を掘り起こしたかは回収
できなかったので、
わかる方はぜひおしえてください。
そして、
オヤジと孫娘の表情(顔芸)、
これがすばらしいと思いました。
以上、この映画の感想でした。
読んでいただいてありがとうございました。
/tomomi